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  • 岩渕毅弘

個展 “Similar to Yourself” によせて


 幼少期から現在にいたるまで、鉱物採集、登山、岩登り、釣りなど自然に遊ぶ機会が多く、自然は身近な存在であったことから、必然的に人間の対概念としての自然に魅力と強い興味を持つようになった。自然が持つ色彩や形態の美しさ、岩肌や水の感触、スケール感を更新する雄大さに感覚が解放され、イメージが拡張される体験は現在の表現の根幹をなしている。

 “Similar to Yourself”という副題を付与した。“あなた自身に似ている”という意味で、自然が持つ特徴である「自己相似性(Self-similarity)」から着想を得ている。自己相似性とは、部分と全体が相似しているということで、例えば、木の葉の葉脈の分岐構造が木全体や、さらにマクロ的な視点で見た自然の構造に似ているというようなことがある。さらにそのような構造は我々人間の体の中にも存在する(神経、毛細血管など)ということも興味深い。「自然との一体感」という言葉にパラドックスを感じながらも、自然と直に対峙し俗性から解放されると、人間と自然との境界は曖昧になっていくような感覚を持つ。

 2016年から木炭の粉末を材料として用いている。以前好んで使用していた絵の具に含まれる重金属の顔料よりも比重が軽いことやメディウムを持たないことから、水で流したり滲ませたりした際により強い形態を画面に残してくれること、つまり自然現象をより表現に取り入れやすいという点に、現在は可能性を感じている。作品の中にある自然と自己とがリンクする部分に非言語的なリアリティを見出し、自然と人間について考える端緒になればと願う。

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